1. 舌の正しい位置とは?
舌の先が上の前歯のすぐ後ろに位置して、舌の広い部分が上あごの口蓋(天井の部分)に軽く付いている状態。舌は上あごと上あごの歯を、前方にも側方にも押して、あごの成長を助けます。
a:正常な舌位 b:低位舌の断面図
2.低位舌とは? (ていいぜつ)
「低位舌」は舌の先の位置が低く、下の前歯の裏側を押している状態。
舌の側面はびらびらの歯型の跡がみられます。
嚥下時の舌の突出
舌を持ち上げる訓練で、うまくできている例。舌背面のすべてが口蓋についている
舌を持ち上げる訓練で、うまくできていない例。舌尖のみ口蓋についている
3.低位舌の影響
上あごの成長を助ける舌が上あごを前方・側方に押さないため、上あごの歯列が狭くなり、反対咬合や交叉咬合の原因になります。
下あごと下あごの歯を押すため、歯と歯の間に隙間ができ下あごの成長が過剰になり、受け口や、開咬になります。
気道を狭くして、口呼吸になり、いつも歯が見えていて、お口が開いている状態です。口を開いていると、重力であごが下がり、成長の過程で顔が長くなります。
口腔乾燥症(ドライマウス)になり、かぜをひきやすい。肩こり、首のうしろがこりやすい。
4.治療法
MFT(口腔筋機能療法)により、舌を正しい位置に導きます。
たとえば、ガムトレーニングなど
床矯正テキストバイオセラピー参照
5.舌が正しい位置に戻ると?
気道が広がり、呼吸が楽になり、あごの位置が安定します。
あごが正しく成長、歯並びも安定し、矯正のあとも後戻りを防ぎます。
舌のトレーニング
舌のトレーニングで必要なことは、「位置」と「機能」です。
正しい舌の位置ってなあに?
正常な舌の位置(ボスチャー)は
① 舌の先が上の前歯の裏に付いている。
② 舌の広い部分(舌背)が上あご(口蓋)に軽く付いている。
状態です。
口がポカッと開いていると舌が下がります。
これを「低位舌」と言います。
低位舌だとどうなるの?
舌はいろいろな骨とくっついています。舌が下がると、舌の付いている骨(舌骨)の位置が変わり、周りの筋肉のバランスが崩れます。
- 上あごが狭くなり歯並びが悪くなります。
- 顎の位置が変わります。
- 気道を狭くして、口呼吸になり、さらに唇が開きます。
ガムのトレーニング手順
①ガムを左右の歯で均等にかみます。どちらかがかみにくい場合、かみにくい方でかむ練習をしましょう。
(片がみを治し、かむ力をつける)
②ボール状に舌の上で丸めます。
(舌の動きを良くする)
③舌の中央にガムをのせ、そのまま上顎の中央に「ぎゅーっ」と3秒間押しつけて薄く広げます。
円形が理想です。(舌の筋力をつける)ただし一回で行い、何度も舌で押しつけたりしてはいけません。
④舌でガムを上あごに押しつけたまま、「ごっくん」とつばを飲みこみましよう。
正しい飲みこみ時には舌は芋虫のような動きをして、ガムはのどに向かって三角形に流れます。(飲みこみ方の訓練)
これらを一日3分間以上繰り返しましよう。
これが、「できない」場合は、舌の機能が足りません。
まずはできるようにトレーンニングしましょう!
舌の機能が足りない例
床矯正研究会テキストより引用
症例
バイオロジカルな成長を促す
6歳10か月、女児 主訴:反対咬合になりそう。低位舌、嚥下癖
初診時:6歳10か月、乳犬歯の交叉と|1 の舌側からの萌出を認める。舌の挙上や運動において不足が認めらるため、スティックとガムトレーニングでのバイオセラピーを行った。
b:スティックでの上顎前歯の徒手矯正。
c:ガムトレーニング(口蓋押しつけ時)。
d:ガムトレーニング(嚥下時)
a:7歳2か月。前歯の被蓋は改善した。ガムトレーニングでも口蓋へのガムの押し付け力が増し、嚥下時の咽頭へのガムの流れが改善されている。
b:ガムトレーニング(口蓋押しつけ時)。
c:ガムトレーニング(嚥下時)
床矯正テキストより引用